イタリア旅行ー➃聖フランシスコの棺

この日は、本当は修道院に行こう、と思っていたのだけど、

聖フランシスコ教会からの眺めるウンブリア平原が名残惜しく、予定を変更することに。


元々はいく予定になかった、聖フランシスコ教会の下の聖堂を見て廻ることにしました。

(聖フランシスコ教会の聖堂が二層になっていることを初めて知った)

そしたら、地下に続く道があり、聖フランシスコの棺が置かれている部屋に続いていました。

800年前の死体がそこにある。

目の前の石でできた棺の中に、眠っている。

聖フランシスコの棺の周りを一周できるようになっていて、長い列をなした人が連なっていた。

棺を囲う鉄格子に、手をかけ、頭を下げ、祈っている人も、たくさんいた。

その空間には、祈りを捧げるための椅子も置いてあった。

私も、その場で、祈りを捧げた。

聖フランシスコに、ではない。

この世界を創り、私も、ここにいる聖フランシスコをも、同じように創った神に。

生き、死ぬ運命にあり、そして、それをも内包した世界に。



彼を突き動かしたその神に、今生きる私たちもまた突き動かされている。

その事実を思う。



どれくらい、そこで祈っていたんだろう。

数分にも、数時間にも感じた。

時間の感覚が曖昧になって、生と死の境目も、ぼんやりするように感じた。



その間に、何百人、もしかしたら、何千人の人が、過ぎていった。

立ち止まり、立ち返る機会がある、ということ。

十字架をきり、キスを捧げる。

祈る場所がある、という喜び。



嘆きの壁にいったときと、似てるな、と感じた。



胸がちょっと苦しくなった。



でも、生も死も超えて、祈り願い捧げられる存在がいることに、心から感謝しました。

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